U理論とは

U理論について

U理論はMITのオットー・シャーマー氏によって世界の様々な領域に渡る最も著名なリーダーへのインタビューやイノベーターたちとの仕事を通じた経験を元に生み出されたもので、集団や組織が新たな未来を創造するためのリーダーシップ能力をどのように開発できるか、その能力をもとにどんなプロセスで新たな現実を生み出すことができるのかを説いています。

U理論は概念的なフレームワークを提示するだけでなく現実に実践可能なプロセスであり、書籍U理論にはUプロセスを通って行く上での個人、集団の実践法が紹介されています。この理論を元に世界中でさまざまな領域の社会的な課題に対する数多くの変革プロジェクトが進行しています。

マサチューセッツ工科大学 オットーシャーマー博士 メッセージビデオ

「集合的」能力にアクセスする

私たちは世界規模で、環境問題の悪化、終わりなき飢餓と貧困、テロと戦争、コミュニティーの崩壊など誰も望んでなどいない現実が生み出されていることが明白なのにもかかわらず、なかなか軌道修正がかけられないという社会システムの機能不全の時代に生きています。社会、経済、環境、精神性など至るところで人間が健全に生活を営む上での基本的な基盤が揺らいでいます。

より意識的に、意図的に、そして戦略的なアプローチでこれらの課題に取り組むためには、新たな集合的な意識とリーダーシップが絶対不可欠です。そしてそのような能力を開くことが、私たち人間がより大きな可能性に満ちた未来を生み出すことを可能にするとU理論は伝えています。

望む変化をもたらす上での盲点とは何か

なぜ私たちはこのままではいけないとわかりきっているのに、それに対してなかなか変化をもたらすことができないような状態に陥ってしまうのでしょうか。それは、より深いリーダーシップと変化について私たちに盲点になっている要素があり、それは行動が生みだされる内面の「源(source)」であるとオットー・シャーマーは語ります。

リーダーが何をするか、どのようにするか、については実に数多くの研究がされていますが、変化をもたらすリーダーたちが内面の「どのような場所から」行動を起こしているのかについてほとんどわかっていません。
U理論が探求しようとしているのは、この「源」にあります。

Uプロセスとプレゼンシング

リーダーが「源」に近づくという能力を開くとき、「生まれようとしている」未来を体験します。この状態をプレゼンシングと呼んでいます。その経験は問いとして抱え続けていた課題へのアイデアや、そのひらめきなしでは絶対不可能な未来を生み出す種をもたらします。U理論はこのプレゼンシングの能力がどのように開かれるかを示しています。

U理論の7つのプロセス全体図

Uの谷に行きつくと、そこには関門がありそれをくぐるためには本当に重要ではないものは全て手放すことを求められます。

エゴを手放し、大いなる自己を迎え入れる

Uの谷におけるこの関門を通るプロセスは、古いエゴ・アイデンティティーとなっている自己を「手放し」、同時に起こる大いなる自己を「迎え入れる」という体験になりますが、これによって私たちの内面の奥深いところにある知との微細なつながりが生まれます。
このとき、それは既に知っているという感覚を覚えることがあります。エゴの私(self)と大いなる自己につながっている私(Self)が出会うところがUの谷であり、この2つの自己はUの谷でお互いを聴き、共鳴し合います。

集団としてこの地点を越えると一人一人が、そして全体が高いエネルギーレベルと現れようとしている未来の可能性の器として機能し始めます。

Uプロセスの7つのステップ

U理論は、7つのステップによって構成されています。
1
ダウンローディング
「過去の経験によって培われた枠組み」の内側で、自分の思考や意見などが再現され、その思考や意見に意識の焦点が当たっている。すなわち、それに意識が奪われている状態を指しています
2
観る(Seeing)
「観る(Seeing)」は、「頭の中で起きている雑念に意識を奪われず、目の前の事象、状況、情報に意識の矛先が向けられている状態」です。
3
感じ取る(Sensing)
「感じ取る(Sensing)」は、「過去の経験によって培われた枠組みが崩壊し、枠組みを超えた側(他者など)から今の自分や状況が見えている状態」です。
4
プレゼンシング
自身の最も深い源につながる能力によって、未来はある部分的な関心からではなく、全体性から未来が出現しイノベーションが生まれるようになります。「ダウンローディング」「観る(Seeing)」「感じ取る(Sensing)」までが個人の内側の体験にとどまるのに対して、プレゼンシングは個人という枠を超えて、まるで共振するかのように他の人に響くものがあります。
例えば、以下のような状態が挙げられます。
  • 画期的なアイデアやインスピレーションが湧いてくる
  • パーソナルビジョンが見え、確信が高まる
  • リーダーとして覚醒する。リーダーとしてのあり方が拡大する
  • にっちもさっちもいかない袋小路の状態であったとしても、心は穏やかで、かつ活力に溢れた行動ができるようになる
  • 自己受容感が高まり、ありのままの自分としての行動が促進される
  • 過去の延長線上とは異なる行動パターンが出現する
  • チームや組織としての一体感が高まる
  • チームや組織の次なる一手として画期的なアイデアや共感的な合意形成が生まれる
  • チームや組織の共創ビジョンが生まれる
5
結晶化(Crystallizing)
未来の最高の可能性からビジョンと意図を結晶化していきます。知と自己のより深い場から創出したいことを具体的な言葉で表現していきます。
6
プロトタイピング(Prototyping)
迎え入れたビジョンと意図を具現化させていき、アイデアやインスピレーションに形を与えていきます。
7
実践(Performing)
出現する未来から生まれ出たインスピレーションから、プロトタイピングを通して形を成してきたものを実際に世の中に提供していきます。
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